ステンレス鋼とは、13%以上のクロムを含んだ鋼(鉄)のことです。クロムは不思議な物質で、鉄が酸化するよりも先にクロムが酸素と結合し、鋼の表面に薄い保護皮膜(不動態化皮膜)を生成します。この膜は100万分の3mm程度の薄いものですが、大変強く、例え壊れても周りに酸素があればすぐに再生して、鉄の酸化を防ぎ、錆びや汚れの進行を防ぐ役割を果たします。また、更にニッケルを加えることで、この皮膜をさらに強化する役割を果します。
この新しい鉄は1912年に発明され、「錆びて汚れない鉄(Stainless Steel)」と名付けられました。現在、このステンレスには様々な種類が開発され、その数は100種類以上と言われています。
ステンレス304は、クロム18%-ニッケル8%を含むオーステナイト系の代表的ステンレスであり、加工性・溶接性に優れ、さらに耐食性、低温・高温における性質も優秀です。これら優れた性質のため、用途は広範囲にわたり、製造量は全ステンレス生産量の60%を越え、加工性・性能面・コスト面のバランスは素晴らしく、現在最も信頼され普及しているステンレスと言えます。
左の写真は実際のfusion水栓本体を真っ二つに切った断面写真です。
シンプルで無駄のない内部構造と精度の高さにfusionの真の実力が隠されています。
ステンレス製水栓金具の世界的な普及率は1%未満と言われており、日本では、ステンレス製の蛇口は製造も行われていません。
10年以上前、世界でも幾つかの水栓メーカーがステンレス製水栓の開発を開始しましたが、開発を続ける莫大な費用と時間を費やし続けることができず、その結果、殆どの水栓メーカーはステンレス水栓の開発から撤退しました。
それでも資金を投入し開発を続け、最後にステンレス製の水栓を完成させたのは世界でほんの人握りのメーカーと言われています。